蛇口の虹

それはギザギザハートのわくわくだ!

蝉が鳴く前に帰った

 

お昼寝をしすぎたせいか、なかなか寝付けずこんな時間になっている。

 

朝の4時半ごろ、家の近くの浜辺にお散歩をしに行った。砂浜につながる階段に座って、コンビニで買ったあんまり美味しくないコーヒーを飲みながら、タバコを吸った。うっすらと朝日が登りはじめていたけど、空は曇っている。私はイヤホンを外して、波の音と名前を知らない鳥の鳴き声と、どこを走っているのかわからない船の汽笛の音に耳を委ねながら、空の色が映っている水面をじぃっと眺めたり、滑空している鳥を目でおったり、砂浜で何か探しているような動きをしてるおじさんを見ていた。海の写真を撮ってsnsにあげてみたり、俗っぽいこともした。

 

少し時間が経つと、ちらほらと朝の散歩をしている人たちが出てきた。日課でいつも散歩をしているであろうその人たちはお互いすれ違うたびに挨拶をしている。「もう折り返してきたの?今日は早いですね」「今日は寝れなかったから、夜中の3時にガスコンロの掃除をして、部屋の片付けをしてたりしてさ〜」私の背中から聞こえる会話を盗み聞きをして、「私も今日寝れなかったんですよ」と心の中で会話に混ざったりした。

わたしに話しかけてくれるおじさんやおばさんもいた。美味しそうにタバコ吸ってるね、とか、この犬言うこと聞かないの、だとか、一言二言会話した。1番強烈だったのは腰にラジオのようなものを巻きつけて、そこからマリア様の呼吸法だかなんだかを話しているたぶん宗教の説法を垂れ流しながら、「曇りなのに暑い!」と私に吐き捨て、真横でヨガを始めたおばあちゃんがいた。そのおばちゃんをみて、何となく潮時かなと思って、家に帰った。

ちょっと夜明けに海に来ただけで、こんな面白い人たちの日常を覗き見できて嬉しい。なぜかすこし自分が特別になった気がした。

ちょうど家に着いたら、蝉が鳴き始めた。

いい日だったなぁとこのままぐっすり眠りにつきたいけど、残念ながら今日は今から始まる。なんだか妙に落ち着かないまま、とりあえず深呼吸をした。はあ、マリア様の呼吸法きいとけばよかったな。